Sketch walk
透明水彩で描く風景・発見と出会いの町歩き

作者紹介

小学校の頃に水彩で絵を描いてから35年ぶりに絵筆を持ってスケッチブックに向う機会がありました。
ヨーロッパ建築ツアーの時でした。
当時、ビデオに凝っていて、子供の成長の様子など撮影するのが趣味でした。
当然、三週間の旅行をビデオに記録して、帰国したら仲間と共にお酒でも飲みながら解説して・・・と思っていたのですが、旅行二日目にビデオカメラが故障。
そんなー!これには参りました。

そんな折、ローマのパンテオンの脇の文房具店で携帯用の水彩セットを見つけました。
ウインザーニュートン社の12色セットで筆も一本付いています。
早速、翌日のフィレンツェで使ってみました。
早朝のアルノ川です。1時間足らずで書き終えて眺めてみると、自分で云うのもなんですが、なんか一応絵になっている感じかなと。

早朝のアルノ川

固形絵具の透明感のある発色の良さのおかげだったと思います。
この旅行中、時間を見つけては描きつづけました。

仕事は建築の設計に進みました。
20歳の時、自分の将来について、やはり真剣に考えました。
何が好きで何が得意か。
そういえば小さい頃絵が得意だったな・・・からデザイン系を選択。
インテリアデザインから建築の設計の道へ。
その後、良き友人、先輩や恩師に助けられ多くのプロジェクトに携わることが出来、幸せな時間を過す事ができました。
絵が人生の方向付けを決めた様な感じです。

建築の設計では浮かんだイメージを瞬間的に絵にするスケッチや、ディティールのスケッチ、完成の姿を予想したイメージパースなどを書く機会が多くあります。
これらは、まだ現実に存在しないものを出来あがった姿を予想して描くものです。

それに較べて写生は、目の前に現実に存在する建物や町をそのまま描けば良いのであって、何が難しいのかなと思っていたのですが、やがてだんだん分かってきました。

このヨーロッパ旅行の後、日本でも描き続けようと思っていたのですが、ヨーロッパ程のインパクトのあるモチーフも普段の生活の中では見付けにくく、時々日常の風景などをF2(A4より少し小さい)サイズでのラフなスケッチで描く程度でした。

そんな中、東京の恩師や仲間が仙台、松島を建築ツアーするので案内しろとのお話がありました。
建築ツアーで周る建物や風景を水彩スケッチの絵葉書にして差し上げたら喜んで頂けるかも知れないと思い、2~3ヶ月毎週の様に、絵に没頭しました。
今度は本気モードでF6(A3より少し大きい)サイズに挑戦です。
これらの絵を書き終えた頃に九州への単身赴任が決まりました。
絵についてはこの時の勢いのまま現在に続いている感じです。

子供の頃、まだテレビがない時代でしたがラジオを聞きながら広告の裏紙にいつも漫画を描いて遊んでいました。

今、ウォークマンで懐かしいLos Panchosなど聴きながら絵筆を持ち着彩に没頭している私がいます。

宮城県仙台市在住   山内高行